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ライナーⅧ ヴェルディ『レクイエム』 [クラシック]

久しぶりに大作を・・・、ヴェルディ『レクイエム』。
最近見ていた、アニメの予告など『怒りの日』の部分が使われていてついつい全曲が聴きたくなりました。他にも、TVなどでちょくちょく耳にしますが・・・。

       
1960年5月、F・ライナーがウィーンを訪れた時の録音。E・スミス&C・レイバーン、プロデュース。エンジニアは、J・ブラウン。DECCAがRCA・ソリアシリーズの為に録音した名盤(だと私は思う)。
ソプラノ   :L・プライス
メゾソプラノ:R・エリアス
テノール  :J・ビヨルンク
バス        :T・トッツィ
ウィーン楽友協会合唱団、ウィーン・フィル

なんと言っても冒頭『入祭唱とキリエ』の何とも透明感のある、張り詰めた雰囲気が特徴的です。これほどの緊張感を持った演奏は少ないと思います。そして何より『遅い』。その遅さを全く感じさせない、説得力のある演奏です。この前代未聞のテンポに録音会場ゾフィエンザールに集まった全ての人が、集中しています。低弦に乗ってくるヴァイオリンの響きが何ともいえない雰囲気を漂わせています。
キリエにおける独唱者4人の声の饗宴。稀代の名テナー・ビヨルンク、輝かしく力強い響きには圧倒されます。ソプラノの少しハスキーな響きも好きです。メゾ・ソプラノ、バスはとにかく力強い!
続く『怒りの日』における爆発、ここからいきなりテンポが上がり突き進んでいきます。ライナーのテンポです。まるで全てのことを拭い去り、置いていくのではないかと思うようなテンポ。しかし、ただ早いだけではありません。そこには、透明感と緊張感が同居しています。
そして『涙の日』。
冒頭同等のテンポが訪れます。ここで、トッツィ・・・独唱冒頭どんどん遅くなっていくテンポに乗り切れずつい前のめりになって・・・、すぐに立ち直りますが。このバス独唱部分がどんどん遅くなります。全曲のちょうど折り返し、祈りの頂点でしょうか。
『奉献唱』からは、またライナーのテンポが戻ってきます。しかし、合唱や独唱がオーケストラを伴わない部分では、相当にテンポを落としてきます。特にテンポを落としてくる部分の透明度が本当に高く、そこにまるで空気まで見えるように感じます。
『リベラ・メ』における、プライスの祈り。何に対してそこまで心をくだけるのか。ライナーの分身として声を響かせている。ちょうどこの頃から心臓病の発作に悩まされだし、いろんな意味でこの曲のタイトルを意識しだしたのでしょうか。
しかし宗教曲と言うより、宗教曲の形態を借りた1つの劇的交響曲として演奏しているように思います。また、オペラ作曲家であるヴェルディのこの作品に秘められた部分を強く前へ押し出したように感じます。
人の声の響きは本当に素晴らしいと思います。


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