ライナー Ⅴ 『田園』 [クラシック]
『田園』、綺羅星の如く演奏があり、多くの名演があり。
録音の歴史の節目に、間違えなく名演が生まれていたと思います。
名指揮者『ライナー』、1954年3月のシカゴ交響楽団との初録音から一躍世界に向け登場してきます。確かにそれ以前から、米コロンビアへ録音、シカゴ以外との米RCAへの録音が多くはありますが、歴史的なこの録音(‘54年3月の録音は、史上最初の商業用ステレオ録音であり超優秀録音と言われています。)以降の9年間がライナーの華麗な録音の歴史そのものだと思います。
私がはじめて聴いたライナー&シカゴの演奏が『運命』でした。この演奏のイメージが強く、なかなかフルトヴェングラーの『運命』を気持ちの中で良しと出来ないでいました。(今は、共存できています。)
そのライナー、61年4月の録音がこの『田園』です。59年5月録音の『運命』の如く突き進む『弾丸ライナー』的表現は、多少影を潜めています。
全体の表現は、『田園』と言う『表題音楽』からは遠い場所にあり、交響曲第6番を丁寧に演奏しているとの表現が正しいでしょうか。しかしこの録音では、楽節などの区切りの部分で時として大きくテンポを落としたりして表情付けなどをしており、これ以前のベートーヴェン演奏では考えられない表現が現れます。
基本的には、『スッパ』と切れ味鋭い演奏で、アクセントをはっきり採って流すような表現は見受けられません。テンポを大きく変化させる部分では、シカゴ交響楽団が驚くべき反応で一寸の狂いもなくライナーのタクトに付けていきます。動きの小さいライナーのタクトを見る楽団の緊張感は、スリリングでもあります。ヨーロッパのオーケストラと違い音色が多少明るく、私には好ましく思います。
全曲を聴き終わった後、本当に心地よい幸福感に包まれます。この演奏の後に、強烈な『運命』を聴くことが出来ませんでした。
録音も最上の一つだと思います。この頃からRCAは『ダイナグルーヴ』と呼ばれるマスタリングになりそれ以前のマスタリングより音が悪くなったと言われていますが・・・。
それともう一つこの演奏の魅力、なんとバイオリンが対向配置です。
↓ どうも、両翼配列ではないようです・・・。弦の並びがいつものライナーと違うようです。
このジャケットは、限定で発売された豪華版のものです。15ページにも及ぶ絵と詩が上質紙に印刷されています。
ヘッドフォンで何度も聞きましたが対向配置であるとは思えません。
by 対向配置マニア (2008-05-23 01:34)
対向配置マニア 様
ご指摘ありがとうございます。
早急聴きなおしてみます。
by あるべりっひ (2008-05-23 22:36)
対向配置マニア さん
ご指摘どおりかも・・・。いつものライナーと弦の並びが違うのですが・・・。
本文訂正しておきます。
by あるべりっひ (2008-06-09 00:20)