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ロストロポーヴィッチ 『悲愴』 [クラシック]

週末に東京都美術館の『フェルメール展』へ行きました。凄い人出に驚きです。入場規制が・・・、幸い開場まもない時間に到着したのですぐに入場できたのですが、会場を後にする頃には大変な列の人が・・・。近くの『大琳派展』へも、俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一、鈴木其一の『風塵雷神図』を同じ場で一同に見ることはこのような機会がなければ無理でしょう。少し遅いですが、『芸術の秋』を堪能しました。また、少し『人に酔った』感じですか、さすが大東京は人が多くびっくりです。(3年前まで住んでいたんですが・・・。)

冬を感じる風が吹き始め、車窓から見られた「富士山」の頭は白くなっています。家に帰り、何気なく取り出したのが『悲愴』。作者自身は西洋への想い強く、民族的音楽とは少し距離を置き仕事をしていたとのこと。チャイコフスキー最期の作品。

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チャイコフスキー:交響曲第6番『悲愴』。ロストロポーヴィッチ&ロンドンPO、1976年10月13~15日:ロンドンのキングスウェイ・ホールでの録音。D・モトリー&N・ボイリングによるEMI録音のアメリカ・エンジェル盤。
この年、指揮者は祖国ソビエト連邦から西欧へ亡命。その亡命後最初期の録音だったと思います。当然ながら故郷の作品を演奏すると自然に望郷への想いが浮ぶ、その故郷へは帰れなと想うとより強く感情が表れるのは人として自然のなりゆきでしょう。
いくら作品が故郷とは遠いところを想い作られた作品であっても、どこかに流れる故郷の香りは消し去ることは出来ないでしょう。その香りをこれほどまでに強く感じることの出来る演奏も多くはないと想います。そこには東西対立の時代背景が影響しているように思います。このような歴史がなければ、この演奏も登場しなかったことでしょう。ある意味大変重い演奏になっているように感じます。
この重い空気にロンドンのオーケストラは大変頑張っているように聴かれます。清々しく心地よい演奏とはとても遠いところにある、『想いの叫び』を感じる望郷の演奏でしょうか。

ところでこの録音、初出が6曲の全集。このLPは未聴なのですが、バラ売りでの『5番』を英EMI盤で持っているのです。が、これがいけません。私の盤が悪いのか、はたまた全てがこのような音なのか・・・、音像が中央から『左』へ偏っているのです。安心して演奏を聴く状態ではないのです。ところがこの米エンジェル盤は、エンジニア:ボイリングの素晴らしい録音を堪能できます。弦楽器群それほど左右を大きく広げてはいないのですが、それぞれのパートがハッキリ聞き分けられますし、奥行きのある管楽器群はエコーでボケることなく定位がハッキリとフォーカスされています。バスドラの地響き感も圧巻です。侮れません、米エンジェル盤。


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mozart1889

おはようございます。
ロストロポーヴィチの「悲愴」、国内盤のLPで聴いてきました。2枚組廉価盤で、「シェエラザード」がカップリングです。4番と5番も同じ2枚組LPで持っているんですが、どうも音像が偏ります。カートリッジのせいかなと長年気になっていたんですが、あるべりっひさんも同様なんですね。
CDになった全集で今年買い直しました。CDでは特におかしなところはありません。
演奏はもうロストロポーヴィチの独特の節回しがたまりません。情念たっぷりのチャイコフスキーに圧倒されます。
by mozart1889 (2008-11-23 09:22) 

あるべりっひ

mozart1889  さん こんばんは。
コメントありがとうございます。
このロストロ盤、独特の『情念』が本当に凄いですね。圧倒されて・・・。
何度も繰り返し聴ける録音ではないように思います。

>どうも音像が偏ります。
ロストロのチャイコ5番の他にも何枚かあります。他の盤では普通に再生するのに・・・。同じレコード番号でも、内溝リード内のマスターやマザー、スタンパーの番号が変わると美しく再生するようになったり・・・。盤面が綺麗でも再生音がダメなことよくあります。購入時は、できる限り試聴してからにしてます。
by あるべりっひ (2008-11-23 23:09) 

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