クーベリック 望郷のセレナーデ [クラシック]
2週間で大きな出来事があり、バタバタしています。
いきなり関連会社への転籍・・・、出向ではありません。サラリーマンですから転勤は日常事でしたが、まさか転籍とは・・・。引継ぎや、新しい仕事で覚えなければならないことで、ただいま頭の中は大混乱!!
イギリスへの亡命から9年後、1957年4月、エルサレムでの録音。
故郷をこよなく愛するクーベリックが、遠く離れたイスラエルで録音したドヴォルザーク、弦楽セレナーデ。
この当時、頻繁に共演していたウィーン・フィルやロンドンのオーケストラではなく、何故イスラエル・フィルとこの曲を録音したのだろうかと、よく考えます。この後もクーベリックとイスラエル・フィルの共演は殆どなかったと思います。(たしか、1975年だけでは・・・。)たぶんにクーベリックの想いだけではなく、レコード会社またはプロデューサーの意思が強く働いた共演だったのでしょうか。
この時が多分初めて競演。これほど遠い故郷を想う気持ちが入った演奏は、それほど出会うことはありません。クーベリック望郷の想いが繊細に折り重なって奏でられる様は、見えない涙として感じることができます。故郷を愛しているが、意に反してそこを離れなければならなくなった人でしか分からないであろう、感傷的な想いだと思います。
優しく、優しく、奏でられる演奏は熱く語られることはなく、永遠の優しさが終ることがないのかと思われるようです。第5楽章終了後に第1楽章が来ても全く不思議に思わない、エンドレスな名演です。後年の録音と比べてもより内向的なこの演奏は、一種独特な雰囲気を持っています。
クーベリック演奏の多くは、派手さを求めず内向性に深く沈みこむものが多いように思います。それゆえに演奏に『影』を感じる人もいると聞きます。爆発的な部分においてもそれは演出ではなく、内に秘めていた想いの告白の様に感じます。
コメント 0