カイルベルト Ⅱ [クラシック]
なかなか『指輪』全曲がすすみません。最初から『ワルキューレ』を聴きました。
全体の印象は、『ラインの黄金』と同様に一本筋の通った緊張感があり瞬く間に聴き終えてしまう感じです。作品に集中させる力が演奏にあります。
舞台上の主役は、絶対的な存在感のH・ホッター。くどいようですが、威厳に満ちた歌唱、終幕での親としての表現力。登場しない第一幕にもその影を感じてしまうほどです。
ヴァルナイ、温かみのある名唱。女傑と感じるこの役に、優しさを暖かさを非常に繊細に持ち込んでいると思います。三幕でのジークリンデとのやり取りは大変印象に残りました。
ヴィナイの大変迫力ある歌唱には脱帽です。P・ホフマンの名唱とは違った人物像を描きだしています。ブロウェンスティーン、この役にぴったりの様に思いますが・・・。
録音に関しては、ところどころ問題点はあります。特にここでは第三幕!!MONOになったりしますが、全体的には非常にリアルな録音です。同時期のE・クライバーの『フィガロの結婚』と比較しても遜色はありあせん。
3幕では本当に冷や冷やさせられますよね、録音に。名場面であるヴォータンの別れ以降が安定しているのが幸いでしたね。
確かに、メーカーがかなりの高音質を強調したアナウンスをしていたのでちょっとガッカリですが、年代や商品の性格、そして何より演奏の素晴らしさを考えれば、これは本当に素晴らしい録音の誕生ですよね。
by オデュッセウス (2006-10-21 23:55)
オデュッセウス さん コメントありがとうございます。
>メーカーがかなりの高音質を強調
55年の『オランダ人』LPを所有しており、以前からこの『指輪』録音を羨望していた一人です。レッグ&カルーショウによりお蔵入りになったような話題がありますが、実際にこの録音を聞くと物理的に発売を見合わせた部分も商業的にはあったのではないかと思われます。当時高音質をうたい、市場を広げてきたメーカーの見栄も合ったのではとも感じます。
とんでもなく素晴らしく再生される部分と、お~??と思う部分が混在しています。それを差し置いても、後世に残さなければならない『バイロイトの記録』だと思います。
by あるべりっひ (2006-10-22 11:14)